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ハラスメント注意予報!ハラスメントの種類は70以上ある 

ハラスメント問題は、価値観の違いや些細な行為の蓄積、何らかのきっかけにより生じます。

わたしたちにとっては、いつでもハラスメントの行為者にも被害者にもなりえることを忘れてはなりません。

今回は、厚生労働省より定義づけられているハラスメントに加え、さまざまなハラスメントについて理解を深めていくことをねらいとしてご紹介します。

 

 

ハラスメントの定義

ハラスメントとは嫌がらせという意味で、いまでは誰もが知っている用語となりつつあります。

代表的なものとして厚生労働省が定めているものは、「セクシャルハラスメント」、「パワーハラスメント」、「妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント」です。

男女雇用機会均等法、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)、育児介休業法等で法整備もおこなわれ、各企業においてハラスメントへの取り組みを促進するよう義務づけています。

 

パワーハラスメント

職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものです。

これら①から③までの要素を全て満たすものをパワーハラスメントと定義づけしています。

パワーハラスメントの代表的な言動の類型には、身体的な攻撃、精神的な攻撃、、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害があります。

 

セクシャルハラスメント

職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることです。

セクシャルハラスメントの代表的な行為の類型には、対価型セクシャルハラスメントと環境型セクシャルハラスメントがあります。

 

妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント

職場において行われる、上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した女性労働者や育児休業等を申出・取得した男女労働者の就業環境が害されることです。

妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントにはマタニティハラスメント、パタニティハラスメント(男性版)、ケアハラスメント(介護)が含まれた総称として使われています。

妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントの代表的な行為の類型には、制度等の利用への嫌がらせ型と状態の利用への嫌がらせ型があります。




 

 

3つのハラスメント以外のハラスメント

厚生労働省が定めているハラスメントは、「セクシャルハラスメント」、「パワーハラスメント」、「妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント」ですが、これら以外に最近では、造語として生まれているハラスメントは多岐に渡ります。

以下、よく話題にあがるものを中心にみていきましょう。

 

ジェンダーハラスメント

性別で職務を不平等にわけたり、不当な評価を下す嫌がらせを行うことです。

あくまで男性、女性という性別に基づき、他方を排除したり優遇したりすることを指し、性別役割分担意識から起こります。

日本は世界と比較してジェンダー指数が低く、課題でもあるテーマです。

 

モラルハラスメント

肉体的苦痛ではなく、言葉や態度等によって精神的に継続的な嫌がらせを行うことです。

職場全体で無視したり、個人の尊厳を貶めたり、見えない暴力で被害者の精神にダメージを与えます。

嫌がらせ行為が外部の人からは見えないという嫌がらせの隠ぺいが行われることが特徴です。

 

時短ハラスメント

労働時間を無理に削減するように言っておきながら、業務量の改善や労働時間を削減ための具体的な施策も取らず、これまで通りの業績や結果を求める嫌がらせを行うことです。

仕事量は変わらないのに「残業せずに早く帰れ」、「残業することは悪である」、「残業することは仕事ができな証拠だ」と言われ、就業後自宅やカフェで残業代の出ない残業をすることなどが該当します。

 

リストラハラスメント

リストラの対象者に対して会社側が嫌がらせを行い、従業員を自主退職に追い込む嫌がらせを行うことです。

本人が望まない部署への人事異動、窓際族となってもらうための窓際部署への急な人事異動、全く仕事を与えない、無理難題な仕事を与えて意図的に失敗させるなど会社に居づらくなるような状況をつくりあげてリストラへと追い込むことが該当します。

 

エイジハラスメント

年齢に対する嫌がらせを行うことです。

中高年で役職の地位に就かない従業員に対して「もう〇歳なのに平社員なんだ」と嫌みを言う、未婚の女性従業員に対して「そろそろ結婚して落ち着いたらどう?」、「このままだと子どもが産める適齢期が過ぎちゃうよ」、「〇歳の考え方は古臭いからプロジェクトには参加してもらうのはよそう」、「もういい加減歳なんだから無理はしないでください」、「〇歳だとこの仕事については絶対にできないだろう」など相手を不快にする言葉を放つなどが該当します。

 

ブラッドハラスメント

血液型が与える印象で、その人の人柄や性格を決めつける嫌がらせを行うことです。

「A型だから几帳面すぎる」、「O型は大雑把で適当だよね」、「B型はおしゃべりだよね」、「AB型だから変人が多い」などと血液型で決めつけ、相手を不快にさせてしまうことが該当します。

 

セカンドハラスメント

ハラスメントを受けた被害者がそれを訴えることで、さらに会社から圧力やプレッシャーをかけられる嫌がらせを行うことです。

「それは君の被害妄想じゃないのか」、「そんなこと言っていたら今期の君の評価はがた落ちだよ」、「本当は君から誘ったんじゃないのか」、「それが事実かどうか疑わしい」、「こんあところに相談に来るなんて君は問題児だな」、「それくらいは当たり前にあることなんだから我慢しなさい」など被害に遭っているのにかばってもらうどころか更なるいやがらせを受けることが該当します。




 

就活終われハラスメント(終われハラスメント)

就職活動中の学生に対して、内定と引き換えに就職活動を終わるように迫る嫌がらせを行うことです。

「うちで内定をあげるから、もう他の会社では受けないでね!」、「うち以外の会社では君なんて採用されないよ」、「うち以外にも面接に行くのなら内定を出せない可能性が高くなるよ」などと就職活動をしている学生の気持ちを不安にさせて心に漬け込んだハラスメントです。

 

キャンパスハラスメント

各種ハラスメントが大学構内で行う嫌がらせを行うことです。

セクシャルハラスメント、アカデミックハラスメント、パワーハラスメント、その他のハラスメントを総合してキャンパスハラスメントといいます。

 

アカデミックハラスメント

大学教授がその立場を利用して学生に対して行う嫌がらせを行うことです。

正当な理由なく実験装置等の使用を禁止される、研究室の出入りを禁止する、学生が行った研究を掲載した論文にその学生の名前を載せない、手柄を横取りするなどが該当します。

 

スクールハラスメント

学校で教師が児童生徒に対して行う性的嫌がらせを行うことです。

恋人はいるのか尋ねる、立場を利用して根拠なく異性との交際を禁止したりする、児童生徒を下着姿にさせ身体を触る、裸にさせたり身体を触るなどが該当します。

 

カスタマーハラスメント(クレーマーハラスメント)

カスタマー、つまり消費者の悪質行為の嫌がらせを行うことです。

保証期間が過ぎているのに「無料で修理しろ!」と言ったり、些細なことに難癖をつけ「土下座しろ!」、「責任者を出せ」、「今から自宅に来い!」、「この件についてどう落とし前をつけてくれるんだ!」と言ったり怒鳴ったりするなどが該当します。

 

エアコンハラスメント

猛暑日にエアコンの使用を禁止したり、寒がっている人がいるのにも関わらず無視して設定温度を下げたりする嫌がらせを行うことです。

例えば、猛暑日にエアコンの使用を禁止する、寒がっている人がいるのにも関わらずわざと設定温度を下げたりする。寒いのに暖房をわざと入れず冷房を入れるなどが該当します。

 

スモークハラスメント

タバコを吸わない人に対して無理に喫煙させたり、隣でタバコを吸って受動喫煙(喫煙者が吐いた煙などを吸ってしまうこと)させたりする嫌がらせを行うことです。

タバコの煙は健康に悪いですし、服や髪に臭いがついてしまったりで非喫煙者にとってはとても迷惑なものです。

 

スメルハラスメント

体臭や口臭、強すぎる香水や柔軟剤などのにおいによって周囲を不快な思いにさせる嫌がらせを行うことです。

夏場の汗などの体臭や、タバコのにおい、口臭、強い香水のにおい、柔軟剤の強いにおい、何日もお風呂に入らず出社し異臭を解き放つなどが該当します。

 

お菓子ハラスメント(スイーツハラスメント)

お土産のお菓子を特定の人だけ配らない、買ってきたお菓子を強制的に食べさせるなど食べなければならない雰囲気を出す嫌がらせを行うことです。

ダイエットしているメンバーにお土産を買ってきたのにと強要しわざと食べさせる、お土産を食べないと俺のことを嫌っていると言い無理やり食べさせるなどが該当します。




 

アルコールハラスメント

飲酒に関する嫌がらせを行うことです。

上下関係を利用した本人の意向を無視した飲酒の勧め、イッキ飲みを強要する、無理やり飲ませる、勝手に強いお酒を注文し飲ませる、罰ゲームの行為、宴会にソフトドリンクを用意しないことなどが該当します。

忘年会、新年会は特に要注意です。

 

カラオケハラスメント

職場などの立場を利用して、カラオケで歌いたくない人に無理矢理歌わせる嫌がらせを行うことです。

「お前ノリが悪すぎ、なんか歌えよ!」、「今から〇〇さんが歌いまーす!」、「〇〇さん、よっ!待ってました!18番歌います!」、「〇〇さんは歌が上手いのでこれから歌います!」などと強要することが該当します。

 

テクノロジーハラスメント

パソコンやスマホ、アイフォンなどテクノロジーに詳しい人が、それらを苦手とする人にする嫌がらせを行うことです。

「こんな簡単なことも分からないのですか?」とパソコンのスキル不足などを馬鹿にしたり、わざと難しい専門用語を使って教えたりするなどが該当します。

 

SNSハラスメント

TwitterやFacebook、LINEなどのSNSにおいて、職場などの上下関係を持ち込んで嫌がらせを行うことです。

職場の上司が部下に「いいね」ボタンを強要する、友達リクエストの承認を強要する、部下の投稿を随時チェックして「いいね」を押す、LINEの交換を強要するなどが該当します。

 

ラブハラスメント

恋愛に関する話題で相手に精神的苦痛や不快な思いを与える嫌がらせを行うことです。

「彼氏(彼女)はいないの?」、「いないなら紹介してあげるよ、遠慮しないで!」、「結婚相手を探す努力をしないとだめだよ」、「良い人いないそうだから探そうか?」、「恋人を作る努力をしなきゃ」など恋愛や結婚に関する考え方を押し付けることでプレッシャーを与える言動が該当します。

 

マリッジハラスメント

未婚の人に対して「結婚しないの?」、「良い人紹介しようか?」、「そんなのだからいつまでたっても結婚できないんだよ」、「結婚できないには問題があるではないか?」などと、結婚しない理由を聞いたり、独身でいることを責めたりする嫌がらせを行うことです。

 

ゼクシャルハラスメント(ゼクシィハラスメント)

交際している男女のうち、女性が男性に対して結婚を迫ることで心理的負担を与える嫌がらせを行うことです。

「ゼクシャル」は結婚雑誌「ゼクシィ」を部屋において結婚したいことをアピールをすることが由来です。

「親が心配しているから」、「結婚いつする?」などと相手にプレッシャーをかけます。

 

ドクターハラスメント

医者が立場を利用して、患者に嫌がらせを行うことです。

「すぐに治療しないと絶対治らない」と高額な治療費を請求する、「俺の治療が信用できないなら他へ行け」と脅したりすることなどが該当します。




 

トイレハラスメント

トイレを話題にした嫌がらせを行うことです。

お腹の調子が悪くてトイレに行ってきた、トイレに行っていた時間が長かったことなどから「〇〇君がう〇こに行っていました!」、「〇〇君が大をどっさりしてきてすっきりした顔をして帰ってきました!」と冷やかしをすることなどが該当します。

 

ハラスメントハラスメント

自分が少しでも不快になると「それハラスメントです」と過剰に主張する嫌がらせを行うことです。

部下を注意すると「それパワハラですよね、パワハラで訴えます!」、「あっ!いまのセクハラです!はい訴えます!」と言われてしまう、服装を注意したら「わたしの容姿を舐めるようにみてなんていやらしい」と相談窓口に相談されたなどが該当します。

 

 

 

ハラスメントには、さまざまな種類があることをご理解いただけたかと思います。

これだけ多様化しているということはわたしたちの価値観や考え方も多様化しているということが言えます。

「ハラスメントと言われるような言動や行動はしない!」ことを意識することはリスクマネジメントでもありリスクアセスメントでもあります。

ハラスメントを起こさない職場を築く努力をおこない、みんなが気持ちよく働くことができるような職場環境をつくっていきましょう。

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