叱り方一つとっても相手に伝わるか、伝わらないか大きく変わってきます。
叱ることが必要なときに上手に叱ることができれば、相手との関係もきまずくはならないでしょう。
今回は、上手に叱ることができる技術について「相手に伝わる叱り方をマスターし柳雄公な人間関係を築く」をご紹介いたします。
怒ると叱るは違う
みなさんは、怒ると叱るの違いについて説明できますか?
わたしが登壇する研修や講演で必ず受講者のみなさんにお聴きするのですが、「怒るも叱るも一緒ではないか」と「怒ると叱るについてよくわからない」とおっしゃる方が多くいらっしゃます。
ですので、叱り方についてみていく前に怒ると叱るについての違いについてみていきましょう。
辞典によると、怒ると叱るについて以下のように定義づけられています。
【怒る】
不満・不快なことがあってがまんできない気持ちを表す。腹を立てる。いかる。よくない言動を強くとがめる。しかる。
【叱る】
目下の者の言動のよくない点などを指摘して、強くとがめる。
怒るも叱るも「強くとがめる」という点では一緒ですが、注目すべきは誰に対してかということです。
怒るは対象を特定していません。
「上司が部下に怒る」はありますし、「部下が上司に怒る」もありますよね。
「上司が部下に叱る」はありますし、「部下が上司に叱る」もありますよね?
さあ、気づかれたでしょうか?
「部下が上司に叱る」は聞きなれないと思いませんか?
つまり、叱るとは目下の者に対してということです。
叱り方にはポイントがある
勉強やスポーツはトレーニングしなければ上達しませんよね。
いつまでも苦手意識を持っていたり、避けていれば上達しません。
勉強やスポーツと同じように叱ることもトレーニングすることで上達します。
ポイントは、ただ1つです。
相手にリクエストすることです。
叱るには順序があり、①相手にリクエスト、②自分の気持ちを話すことで構成していきます。
叱るということは、「次からこうしてほしい」、「直してほしい」、「改善してほしい」、「成長してほしい」と思うからこそ叱るのです。
ですので、過去ではなく未来にフォーカスしてリクエストしていきます。
リクエストができれば次に自分の気持ちを伝えます。
「本当はこういう気持ちだった」、「こういうふうに感じた」と自分の気持ちを伝えていけばいいわけです。
このようにメインをリクエスト、サブに自分の気持ちを伝える方が相手は受けやすいということです。
逆にメインに自分の気持ちを伝える、サブにリクエストという風にすると伝わりにくくなります。
NGワードには気をつける
叱るときにはNGワードに気をつけることが大切です。
過去を責める
過去を引っ張り出して、「前から言おうと思っていたけど」、「あのとき、あの場所でこうだった」、「またなの?」、「何度も言うけど」、「これで何回目なの?」など使用して相手を納得させようとすることです。
しかし、なぜいまこのときに過去を持ちだすんだと素直に聴くことができなくなりませんか。
相手からしたら「はあ?」しかありません。
そのときその場所でおきたことだけにフォーカスして伝えていきましょう。
責める言葉
「なんで?」、「なぜできないんだ?」、「分かってるの?」、「それで?」など尋問や詰問するような言葉です。
こんな言葉を言われた日には、もう何も言えなくなり、黙りこけるか逃げるために「すみません」、「申し訳ありません」しか言えなくなります。
過去を聴くことは責めること、未来を聴くことは考えさせることと理解し、WhyでなくHowを使いましょう。
強い言葉
「いつも」、「絶対」、「必ず」、「間違いない」、「毎回」など一方的に決めつける言葉です。
「いつも」、「絶対」、「間違いない」、「毎回」は100%ではありえません。
逆に「いつもっていつですか?」、「絶対って100%ですか?」などと聴かれることにもなりますので、避けましょう。
曖昧な言葉
「しっかり」、「きちんと」、「常識」、「当たり前」、「普通」など抽象的な表現の言葉です。
これも程度を表す言葉ではありますが、非常に不正確ですので使うことは避けましょう。
このような抽象的言葉を使い続けると相手との間にギャップが生まれ、ミスコミュニケーションを起こしてしまいます。
今回は、上手に叱る技術をご紹介しました。
ポイントを押さえて叱ることをトレーニングすれば上達することが期待できます。
非常にシンプルで取り組みやすいトレーニングですので、ぜひ勤力トレーニングしていきましょう。