吉田兼好の徒然草の第百九段に木登り名人の話があります。
今回は、木登り名人の話をご紹介します。
木登り名人から学ぶ高所における危険予知
昔、木登りの名人と呼ばれる男ががいました。
その名人が、弟子に、高い木に登らせ、木の枝を切らせていました。
弟子が、高くて危ない場所で木の枝を切っているときはその名人は何も言わずに黙って見ているだけでした。
しかし、弟子が木の枝を切り終わって高い場所から低い場所まで降りてきたとき、名人は初めて声を掛けました。
「注意して降りなさい。」
わたしは、不思議に思って、「名人、あれくらいの高さになったら飛び降りることだってできるのにそんなことを言うのですか?」と聞いたところ、その名人はこう答えました。
「高いところで木の枝が切っているときは気をつけているので何を言うこともありません。失敗は、もう大丈夫だと思って油断して簡単なところで起きてしまうのです。」
このお話からの教訓
高所作業において、高いところで作業しているときは、安全に注意を払って作業者は高い意識を持って作業をします。
しかし、比較的低いところでの作業の場合は、「俺はだいじょうぶ」と思い込みが働き、ついうっかり、ぼんやり、なんとなくというヒューマンエラーが発生し事故・災害に至るケースが多々発生しています。
労働安全衛生法では、高所作業を2mと定義づけ規定しています。
これは、2mを超えるところから墜落すると死亡率が高くなるという統計データを基に定められています。
170㎝の作業者が2mのところで作業を行った場合、頭の位置は3.7mとなります。
3.7mのところから墜落するとどうなるか想像できますよね。
高所作業においてはよりいっそう気を引き締め作業していきましょう。