労働安全衛生には、労働安全衛生法をはじめとしたさまざまな法令(法律と命令)があります。
法令を学ぶことは労働安全衛生の基本的事項であり、現場の労働安全衛生を推進していくうえで欠かせないものです。
今回は、労働安全衛生法令についての概要を理解していただくために解説していきます。
法令とは何か
そもそも法令とは何かということから解説いたします。
法令とは、「法律」とそれに関係する「命令」の総称です。
「法律」の法と「命令」の令を合わせて一般的に「法令」と言います。
つまり法令とは省略言葉であり、「法律」と「命令」が正式な名称です。
ちなみに「命令」には政令、省令、告示、通達があります。
法令の中身とそれぞれの役割
それでは法令の概要とそれぞれの役割についてみていきましょう。
まず法律です。
法律とは、国会が定めるものであり、国が企業や国民にその履行、順守を強制するものです。
労働安全衛生でかかわりのあるものとして、労働安全衛生法、労働基準法、労働契約法などが挙げられます。
これらの法律には何をしなければならないか、その基本的または根本的なことのみが記載され、それを守らないとどういう処罰を受けることになるか明らかにされていますが、その対象は何か、具体的に行うことは何かについては明記されていないことが多いということがあります。
なぜかというと、法律は国会が定めるものですよね。
法律に詳細まで明記するとその時々に応じて追加や修正が発生した際に、国会の議決を経て承認が必要になるからです。
時間がかかりすぎることや承認を得られにくいということも場合に応じてありえます。
そのため、これらについては命令の中で明らかにしていこうという訳で切り分けています。
では次に命令です。
政令とは、内閣が制定する命令です。
〇〇法施行令という名称が一般的ですが労働安全衛生では、労働安全衛生法施行令があり、労働安全衛生の各条に定められた規定の適用範囲、用語の定義等を定めています。
省令とは、大臣が制定する命令です。
労働安全衛生法では厚生労働大臣が制定する命令になります。
省令には、労働安全衛生規則のようにすべての事業場に適用される事項の詳細等を定めるものと、クレーンの等安全規則、ゴンドラ安全規則、有機溶剤中毒予防規則、粉じん障害防止規則、石綿障害防止規則、事務所衛生基準規則などのように特定の設備や業務等を行う事業場に適用される特別規則があります。
告示とは、一定の事項を法令に基づき詳細な事項について具体的に定めて広く知らせるためのものです。
各種の技術基準などは一般的に告示で公表されます。
通達とは、法令の適正な運営のために行政内部で発出される文書です。
これには解釈例規と呼ばれる行政として所管する法令の具体的判断や取扱基準を示すものと、施行通達とよばれる法令の施行の際の留意点や考え方等を示したもの(基発〇〇〇〇第〇〇号など)があります。
法律は概要部分が明記、命令はその詳細が明記されているものと考えると分かりやすいでしょう。
法令は暗記するものではありませんので暗記しようとは思わないでください、おそらく無理です(笑)
法令は暗記するものではなく、調べるものです。
調べ方さえ知っていれば十分であとはひたすら調べていくだけです。
その調べ方をして、法令のどこを見れば良いのか捉えていることが重要です。
捉えてさえいれば、該当する箇所を調べていけば良いわけです。
関係法令について常に調べるという癖をつけていくことが法令についての理解につながります。
ぜひ調べる癖をつけていきましょう。