新型コロナウイルス感染症による労災認定が多数報告されています。
今回は、「職場で新型コロナウイルス感染症になったら労災認定されるの?」についてご紹介します。
新型コロナウイルス感染症のり患による労働災害発生
厚生労働省が発表している「新型コロナウイルス感染症のり患による労働災害発生」によると、新型コロナウイルス感染症の罹患による労働災害発生状況は 6,041 人でした。
業種別にみると保健衛生業で4,578人(医療保険業2,961人、社会福祉施設1,600人)、製造業345人、建設業187人と多い順になります。
資料出所:厚生労働省「令和2年労働災害発生状況 」
新型コロナウイルス感染症による労災認定について
新型コロナウイルス感染症による労災認定について、以下のように取り扱いがされています。
(1)国内の場合
ア 医療従事者等
患者の診療若しくは看護の業務又は介護の業務等に従事する医師、看護師、介護従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合には、業務外で感染した
ことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象となること。
イ 医療従事者等以外の労働者であって感染経路が特定されたもの
感染源が業務に内在していたことが明らかに認められる場合には、労災保険給付の対象となること。
ウ 医療従事者等以外の労働者であって上記イ以外のもの
調査により感染経路が特定されない場合であっても、感染リスクが相対的に高いと考えられる次のような労働環境下での業務に従事していた労働者が
感染したときには、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと認められるか否かを、個々の事案に即して適切に判断すること。
この際、新型コロナウイルスの潜伏期間内の業務従事状況、一般生活状況等を調査した上で、医学専門家の意見も踏まえて判断すること。
(ア)複数(請求人を含む)の感染者が確認された労働環境下での業務
(イ)顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務
(2)国外の場合
ア 海外出張労働者
海外出張労働者については、出張先国が多数の本感染症の発生国であるとして、明らかに高い感染リスクを有すると客観的に認められる場合には、出
張業務に内在する危険が具現化したものか否かを、個々の事案に即して判断すること。
イ 海外派遣特別加入者
海外派遣特別加入者については、国内労働者に準じて判断すること。
まとめ
職場で新型コロナウイルスに感染した場合は、以下の基準を基に労災認定され保険給付の対象となります。
〇感染経路が業務によることが明らかな場合
〇感染経路が不明の場合でも、感染リスクが高い業務※に従事し、それにより感染した蓋然性が強い場合
※(例1)複数の感染者が確認された労働環境下での業務
※(例2)顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下の業務
〇医師・看護師や介護の業務に従事される方々については、業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として対象。