働き方改革の推進や世界中で流行した新型コロナウイルス感染予防等、先行きが見渡せない変化が激しい時代において、これまでの労働安全衛生教育のあり方も見直しされつつあります。
これまで集合型で行なっていた労働安全衛生教育をインターネット回線を接続しておこなう「オンライン教育」が導入されつつあります。
前回の記事で「労働安全衛生教育(職長安全衛生責任者教育・特別教育)のオンライン教育導入について解説」をご紹介しました。
今回は、オンライン講習を導入される企業向けに「労働安全衛生教育のオンライン講習の導入で気をつけておくべきこと」についてご紹介します。
労働安全衛生のオンライン教育には2種類ある
前回に記事でご紹介しましたが、労働安全衛生のオンライン教育には大きく分けて「拠点参加型」と「個別参加型」があります。
●拠点参加型
会議室など特定の場所に複数人が集まってライブ型配信(生放送)で受講する形態。
実際に講師がいる研修会場と受講者がいる各拠点とをインターネット回線で繋ぎ、受講者は手元のテキストやPC画面上に表示される研修内容を確認し、講義内容を学んでいく。
複数拠点を接続する多拠点接続で、各支店や支社からの参加をすることも可能。
●個別参加型
各人が自宅などであらかじめ収録された録画を受講する形態。
受講者が自宅に帰った後など時間を確保することができるときにあらかじめ収録された録画を視聴し、講義内容を学んでいく。
「拠点参加型」はライブでの配信、「個別参加型」はウェブ受講と考えていただくと分かりやすいかと思います。
厚生労働省の労働安全衛生のオンライン教育における考え方では「個別参加型」は法令違反にあたる可能性がある
労働安全衛生教育において厚生労働省に見解は、以下のように所定時間内で実施することを原則としています。
「労働安全衛生法第59条および第60条の安全衛生教育は、労働者がその業務に従事する場合の労働災害の防止をはかるため、事業者の責任において実施されなければならないものであり、したがって、安全衛生教育については所定労働時間内に行うことを原則とすること。」
そのため、事業者は所定時間内に教育を実施する必要があります。
また労働安全衛生教育のオンライン教育は、受講者がオンラインを受講していることを担保するため、監視者を設置する必要があります。
その面からみても事業者側で設置する必要があるため、受講者が自宅でウェブを受講し、家族が監視者というような受講スタイルは好ましくないと判断されるでしょう。
オンライン教育を導入するなら、「拠点参加型」を選択させることをおすすめいたします。