「ご安全に!」という言葉をご存じでしょうか?
建設現場や工場にいると「ご安全に」という言葉が飛び交う当たり前の挨拶です。 今回はこの「ご安全に」という挨拶について詳しくご紹介いたします。
「ご安全に」のルーツ
「ご安全に」のルーツは、元々は、ドイツの炭鉱夫たちの間で使われていた「ご無事で(Gluck auf:グリュックアウフ)」という挨拶が由来とされています。
鉱山で働く炭鉱夫たちは、常に危険作業に従事することもあり、「今日も一日どうかご無事で」という意味で使われ始めたのでしょう。
ひとりの日本人が持ち帰り広める
ドイツの炭鉱夫たちの間で使われていた 「ご無事で(Gluck auf:グリュックアウフ)」 という挨拶を知った日本人は、住友金属工業株式会社(現:日本製鉄株式会社)製鋼所製鋼課の大中副長でした。
1951年、ドイツに出張で訪れていた大中副長は、現地でこの言葉を知り、帰国後の1953年、従業員への安全啓発策として「ご安全に」をあいさつとしての標準言葉にしたいと提言しました。
そして「ご安全に」というあいさつ運動は、鉄鋼業界を中心に日本全国へと広がっていきました。
最初はドイツ語のままで使われていたそうですが、「ご安全に」と訳され現在に至っているとのことです。
ちなみに今では各事業場があたりまえのように実施している危険予知活動も 住友金属工業株式会社(現:日本製鉄株式会社) が最初に導入したとの記録があります。
「ご安全に」は不安全行動を防ぐことができる
「ご安全に」という言葉を使うことによって不安全行動を防ぐことができます。
不安全行動とは、労働者本人または関係者の安全を阻害する可能性のある行動を意図的に行う行動で、以下12の型に分類されます。不安全行動を起こしてしまうと、「ヒューマンエラー」へとつながります。
1.防護・安全装置を無効にする
2.安全措置の不履行
3.不安全な状態を放置
4.危険な状態を作る
5.機械・装置等の指定外の使用
6.運転中の機械・装置等の掃除、注油、修理、点検等
7.保護具、服装の欠陥
8.危険場所への接近
9.その他の不安全な行為
10.運転の失敗(乗物)
11.誤った動作
12.その他
このような不安全行動を起こさないためにも、一人ひとりが安全意識を高めることが大切です。
そのためは、お互いが安全意識を高めることができるような仕組みをつくる工夫が大切です。それは「ご安全に」をあいさつの啓発運動として導入することだったかと思います。
「ご安全に」という挨拶を習慣化させる
いかがでしたでしょうか。
今日も一日相手の無事を願う「ご安全に」という言葉、とても素敵ですよね。
「ご安全に」という言葉をきくと小学生の頃に先生に「家に帰るまでが遠足ですよ」という言葉を言われたことを連想してしまいます。
そう考えると、わたしたちは安全について小学生の頃から先生たちから教えられていたのですね。
相手を思いやる気持ちを言葉にのせて伝える挨拶「ご安全に」。このご安全にという魔法の言葉を使い、今日も一日安全作業に取り組んでいきましょう!